【3頭併せの解説と意味合い】
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皆様お疲れ様です。

元美浦トレセン調教助手のリーファです。

追い切りには色々なパターンが存在しますが、今日は3頭併せについて詳しく説明をして行きたいと思います。

 

【3頭併せの目的】

※より実戦に近い形で調教ができる

※闘争心を引き出す

※後ろから来る馬は馬の後ろで我慢させる事を教える

※馬が近くにいる事により良いプレッシャーがかかる

※3頭いる事で動きの比較ができ調子の有無がわかりやすくなる

余談ですが3頭併せは乗ってる人間同士のコミュニケーションも大事です

 

 

僕が競馬場に入った30年前くらいは図のAのように誘導する馬が最内で、2番手がその外で3番手の馬が1番外に来る形の3頭併せが主流でした。
この形の3頭併せは今でも行う場合がありますが今の主流は図のBのパターンで外に誘導馬がいて、後ろから追い掛ける馬が順に内に入るパターンの調教です。特に若手の調教師の厩舎ではこの形が一般的だと思います。

僕の記憶だと藤沢厩舎がBパターンの追い切りを最初にやり始めたんじゃないかと記憶してます。
それからはトレセン全体でBパターンの追い切りが増えて行ったと思います。

このBパターンの調教は利点が凄く多いのが特徴です。
*馬の能力差を軽減した追い切りができる併せ馬の組み合わせのバリエーションが増える厩舎にとってはメリットが大きい。

何故?能力差が軽減できるかというとAパターンの方は後ろから行く馬が外を回らなければならず、内の馬より距離ロスが凄くあるので追い切りの動く馬や能力がある馬でないと組み合わせ的に厳しくなります。
一方Bパターンの方は後ろから行く馬は誘導馬の内を回るため距離ロスがないので能力が劣る馬や追い切りが動かない馬でもしっかりとした追い切りが行えるのが利点です。厩舎にいる馬全てが、追い切りを動く馬とは限らないので厩舎にとってはBパターンの追い切りの方がありがたいと言えると思います。更にBパターンは外側の馬が壁になる為、外に膨れていくのを防げるのでトモを滑らす事も減りケガの防止にもなります。

逆にAパターンの追い切りは後ろから行く馬は外側に馬がいないので万が一逆手前で走ってしまうと外側にドンドン行ってしまいトモを滑らせたりしてケガや捻挫などの原因になる事もあります。
3頭併せは闘争心を出させると共にゴールまで頑張らせる意味合いもあるので能力が劣る馬や追い切りが動かない馬でも最後まで頑張らせる意味合いからもBパターンは優れた追い切り方法だと思います。
但しオープン馬や追い切りが動く馬にとってはBパターンの追い切りは楽な時もあり負荷のかかり方が軽くなる場合もあります。

その場合などは1週前追い切りの動きや時計、又は最終追い切りの動きと時計に注目して負荷のかかり方を推測すると良いと思います。
他の利点としては後ろから行く馬は必然的に内に潜る形になるので揉まれる訓練にもなります。
ただAパターンの追い切りにも良い所があり、負荷を目一杯かけたい時には有効な追い切りであり外から差すイメージをもたらす事も出来ます。

 

最後に

個人的な考えとしてはBパターンの追い切りをトレセンで行うようになってから実際の競馬でも一昔より内をついて勝つ馬が増えた気がします。
ただ単に追い切りと言っても色々な追い切り方法と陣営の思惑があり、毎日試行錯誤しながら実戦に備えています。
単走、2頭併せについての解説も随時して行きたいと思ってます。

 

 

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