【タイトルホルダーの競走中止】について
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皆様お疲れ様です🙇

元JRA美浦トレセン調教助手のリーファです😊

今日はタイトルホルダーの競走中止について何人かのフォロワーさんから質問やDMがきたので僕なりの見解をしたいと思います。

 

【天皇賞春タイトルホルダーの競走中止】についての見解

今年の天皇賞春はまさかの結末で、結局タイトルホルダーを含む合計3頭が競走中止という過酷な戦いだったと思います。テレビの解説の中で元ジョッキーの安藤勝己さんがタイトルホルダーのレース前の準備運動が随分念入りにやっており、右前の硬さが気になると仰っていました。それに伴いネット上では何故?異常があるのにレースに出すんだとか、売り上げの為に走らせたのではないのか等、様々な意見があり賛否両論となってます。ここで1つ言って置きますが、ジョッキーは売り上げの事を考えて馬を走らせる事はまずないですし、しかもJRAから売り上げの為に走らせろとも言われる事はないです。飽くまでもジョッキーは馬優先主義を第一に考え、危険だと思えば人気に関係なく競馬前にスクラッチ(取り消し)の申告をすると思います。馬の歩様が悪ければ自分の身も危険になるので、その辺は凄く敏感だと思います。今の所タイトルホルダーはただの跛行という診断ですが、何が原因で跛行してるのかがわかりません。この先の競走生活に関わらなければ良いと願うばかりです。

※追い切り前の歩様はどうだったのか?追い切り後の歩様はどうだったのか?
今回の問題となってる歩様について、少し細かく時系列で追って行きたいと思います。
先ず追い切りが水曜日だったのですが、追い切り前には必ずウオーミングアップを行います。各厩舎でウオーミングアップの方法は変わりますが、ここで1回歩様のチェックと気配は必ず確認してると思います。ここで異常が有れば追い切りもやれないですし、追い切りの映像を見る限り問題なく追い切りは行われています。ただ追い切り映像はゴール過ぎまでのシーンしかなく、止める所までは映されてなくゴール後の歩様はわかりません。追い切りで異常を感じる場合は止め際やキャンターを止めてから歩様に出て来る事が多いです。
追い切りが終わると厩舎にもよりますが、追い切りを行った午後に獣医さんのチェックと治療が行われます。ここで異常があれば早目にスクラッチになる事もあります。(ただ水曜日の段階だと投票前なので正式なスクラッチにはなりません)この時点で獣医さんがチェックをして、異常がないと判断してるので水曜日の時点では問題なかったのではと推測します。今回は金曜日に輸送する関係で追い切りの翌日の木曜日も馬場入りをしています。ここでダクなどをして歩様は必ずチェックしてるので木曜日の時点でも問題はなかったと思います。今回のタイトルホルダーに関係なくよくあるケースは、膝の骨折や見た目にわからない屈腱炎の時です。追い切りや競馬の数日後にわかる事が結構あります。特に膝の骨折は軽いものだと歩様にも出ないでそのまま調教して治ってる場合もあり、非常に厄介な時があります。ただし今回のタイトルホルダーの病状は今の所わからないので何とも言えません。

※ここで一つ気になる事が
競馬が日曜日なので獣医さんが治療できるのはレース2日前までの金曜日までと決まってますが、今回のタイトルホルダーの輸送は金曜日の朝に出発し午後に京都競馬場に到着するプランでした。そうなると京都競馬場でレース前最後の治療をする事になり、普段担当してる獣医さんが診る事はほぼ不可能に近いです。わざわざ美浦トレセンから京都競馬場まで往診しに行く事は先ずないからです。タイトルホルダーが金曜日に獣医さんから治療を受けているかはわかりませんが、いつも診てる獣医さんと違う獣医さんが診る事になり、もし異常があれば、今までの治療過程や普段の歩様もわからないのでちょっとした異常には気づき難い所もあったのではないかと推測します。ただ歩様自体は、恐らく目に見えて悪いものではなく、見た目ではわからなかったと思います。特に歩いている姿はパドック含め多少の硬さがありましたが、跛行している感じではなかったです。多少の硬さはあるのは競走馬では普通の事ですし、跛行していれば装鞍所やパドックでJRAの獣医さんに止められていると思います。

※気になる所
いつも言ってますが、ジョッキーはパドックでの歩きよりも返し馬で乗った感触や感覚を重要視しています。アンカツさんが言う通り念入りに体をほぐし、歩きをチェックしてたとなれば若干いつもとほぐれ方や返し馬の感じが違ったのかもしれません。しかしスクラッチするほどの歩様でもなく、体も徐々にほぐれて来たのでそのまま出走する形になったと思います。1回馬場に入ると取り消しするか、しないかはジョッキーに委ねる形になるのでどちらにせよジョッキーの決断は重くなります。しかもスタンドで待ってるスタッフは口を出せないのでスクラッチした時はいきなり呼び出されてビックリする時があります。一つ余談ですが、中央馬の返し馬は地方馬と違い、返し馬が比較的短めでサラッと終わるケースが多いです。それだけほぐさなくても大丈夫な馬が多く、スタミナをレースまでに温存したいと言う趣旨もあります。恐らくアンカツさんも中央馬が長く返し馬をし歩様をチェックすることなど滅多にないので、そこが気になっての発言だったのではないかと思います。
レースは皆さんもご存知の通り4コーナー手前で失速し競走中止という結末でした。ジョッキーもファンもこんな結末になるとは思ってなかったと思います。異常が何もない馬でも競走中止する事があるのが競馬です。競走中止した事、負けた事を1番悔しく思ってるのはジョッキーだと思います。まだ詳しい診断内容と病名はわからないですが、G1レースになるとギリギリのラインを狙っての仕上げになるので厩舎サイドも難しい調整になります。勿論お金がかかっているので色々な批判があるのは当然だと思います。ただ競馬は生き物相手のスポーツであり何が起きるかわからないのも事実であると言う事も理解してもらえると幸いです。

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何かと最近話題の多いトレセンを舞台とした漫画です。この漫画でしか知りえないトレセンの仕事内容や裏側をリアルに描いてます。トレセンでの日常はTwitterやブログだけでは伝えきれない事が多く、謎に包まれているのも事実です。1人の新人厩務員(安住真治)を通してトレセンの日常を面白おかしく描いてます。ウマ娘世代から玄人ファンまで幅広い世代に読んでいただきたいと思います。原案は元JRA調教助手の私が担当し漫画は高草木こぶが担当してます。競馬愛ある2人で作り上げた漫画なのできっと競馬の楽しさや奥深さを知れると漫画だと思います。是非一度読んでください。尚、配信はkindle、コミックシーモア、アップルブック等146の配信会社から電子書籍として配信されてます。どうぞよろしくお願い致します🙇😊。

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